桶屋の松っちゃん
囲碁将棋盤の最高級品は、宮崎県日向地方の榧(カヤ)の柾目のもの。
それを扱う老舗が、松川碁盤店。
写真は当主の松川高士氏。
私が「氏」と付ける風格を、感じさせます。
囲碁4級の私が見ても、それはそれは美しい碁盤を作ります。
世はバブルが崩壊した頃、松川氏から嘆き節が出はじめた。
毎日のように「売れない、売れない」と言う。
世はITの時代。
囲碁を打つ人達はネットを利用し始め、碁盤が必要なくなった。
そして嘆き節は続き、遂に私たちは、氏をマッチャンと呼ぶようになった。
この写真を見ていただきたい。

松川氏から鋭さが消えている。
マッチャンは、木を扱う専門家。
見る目は確かだし、扱う腕もある。
宮崎には榧だけでなく、宮崎杉、霧島杉という優れた桐材がある。
これに目を付けたマッチャンは、遂にそれらを利用して漬け物桶を作った。
なんと一本を切り抜いて桶を作るという、何処にもない独自の漬け物桶です。
様々な特徴があるけれど、先ずは漬け物が暖まることがない。
杉材の特徴で、気化熱で中の温度を下げる効果があるために、夏でも冷蔵庫に入れなくて済む。
そして何より、漬け物が美味しい。

写真中央にビールが何故あるかというと、この漬け物桶に入れておくだけでビールが冷えるという実演をしているのです。
これが好評を博し、以前は碁盤の端に置いてあった桶が、今や碁盤を追い出し、中央に鎮座ましますようになった。

(左隅にちょこんとあるのが碁盤。立っているのは、最近まぶしくなくなったアケビ細工の古川(こがわ)さん)
以前は、レジに行くマッチャンの姿を滅多に見ることがなかったのに、最近はしょっちゅう通うようになった。売れているんです。
「大川君の前を通ると悪いから、ぐるっと回ってレジに行ってるよ。これでも気を遣っているだぜ」。なんて言う台詞も吐くようになった。
これも企業努力ですね。
碁盤に目を入れることを「目を盛る」と言い、日本刀で盛る事を「太刀盛り」と言います。
碁盤を扱う松川氏は、日本刀を持つ。
だからその目は、最初の写真の様に鋭い。
この漬け物桶は、ネットショップでも扱っています。
美味しい漬け物を作りたい方には、お勧めです。
ホームページをお訪ね下さい。


