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2018年5月22日 (火)

もっとも人間らしい行為

 「意味への意思」を持つことが、最も人間らしいことである。何を考え、何を行動するにも、意味・意義を考える。それでこそ人間である。生活・行動に意味・意義を感ずれば感ずるほど、感激し、感激を持つことが、その意味・意義を得ることの一番真剣で、情熱的な事である。
 
安岡正篤
 
 
 
 藍染めするにも意味・意義を考えること。私の長年の主張です。意味・意義の無いものは、人間らしいものでは無いと。

2018年5月21日 (月)

「藍染」その偽物と本物という問題と現状

 全国の百貨店を回っておりますと、時折、藍染をなさっている方に出会います。その中には、生葉染めをなさっている方もいらして、いつぞやは、「私は本物の藍染をやっているの。ちゃんと生葉で染めています」とおっしゃった。それで、どうしたら退色しないように出来るかを、専門家の私に聞きにいらしたのです。
 そういう方々は、染色の教室やカルチャーセンターで藍染を習ってくるらしい。それはそれで、楽しみ方の一つなんでしょうけれど、私たちの伝統文化としての藍染と同じに考えてしまうと間違えると、私は考えています。
 
 伝統文化というのは、人間の知恵の継承であり、その中には様々な意味が含まれています。生葉をミキサーでなにかした染めには、その知恵はないし、もっと言えば、苛性ソーダを使い、ハイドロなどの還元剤で建てた藍も同じ事です。さらには、インディゴ・ピュアー(人造藍)を藍甕に加える割り建てなども、我々伝統工芸の世界とは全く縁がありません。
 しかし、残念ながら世界中のほとんどの藍染が、そういうものとなって久しいことなのです。
 
 では、ハイドロ建てや割り建てで染めた藍染は偽物かといえば、けっしてそうは言えません。
 
 正藍染の私の染め液も、コールタールから抽出した合成藍を苛性ソーダと還元剤で建てた染め液も、化学的に分析すると、同じ式で表されます。だから、「合成藍は、天然藍と全く同じ物質だ」と、化学者は云いますし、化学的にはその通りなのでしょう。
 
 染め液を作る方法についても、私たち伝統の世界では、灰の灰汁を使って醗酵させるわけですが、「醗酵とは、微生物による物質の変化を伴う現象で、物質の変化とは化学変化(反応)であり、藍はアルカリ性の液で、発酵か還元作用によって可溶性の物質に変化するのだから、現代は、醗酵の代りに還元剤を使い、人造藍の発見により、簡単に藍染めが出来るようになった」と、これまた化学反応式を持ち出して化学者は説明する。ですから化学的には、合成藍も化学建ても、同じ藍染であって偽物ではありません。
 では、これらは正藍染と何が違うかと云えば、色と性質と本質(意味・存在理由)が違います。つまり、結果が違うのです。私が化学藍は偽物ではないが、正藍染めとは似て非なる物という理由はそこにあるのです(このお話は別の機会に致します)。
 
 この問題は植物から色を取る染め、所謂「草木染め」にも及んでいる。つまり、媒染剤の問題です。
 
 古来のそれは、灰の灰汁で色を出していた。今は、灰がありませんから、それを金属でまかなっている。金属は分解しませんから、河川を汚す。
 原料は自然の物かも知れませんが、現在の植物をつかった染めも藍染めも、その工程に問題があるのです。
 
  
 日本の植物を使った代表的な染めに、黄八丈があります。黄八丈の特徴は、島の中で原料から仕上がりまで、全てまかなうことが出来るところにあります。
 染めの原料は、イネ科の一年草のコブナクサ(刈安 カリヤス)を乾燥したものを使います。 これを束にして朝から晩まで煎じるのです。

 こうして得られた煎汁を「フシ」と呼び、この煎汁に漬け込んで染めることを「フシヅケ」と呼びます。淡い煎汁に回数を多くつけた方が渋みがのり、染め上がりが美しいと云われています。
 
 一綛(わな)づつ糸を軽くねじり、染め桶の中に一列に並べ、熱い煎汁を平均にかけ、よく染みわたらせます。
 糸の量が多ければ、さらに積み重ね、糸が浸る程度に煎汁をかけ、上部を布で覆い、糸が直接空気に触れないようにして、そのまま翌日まで漬け込みます。
 
 翌朝取り出した糸は、よく絞って屋外の干場で竿にかけて夕方まで乾燥させます。乾燥中は幾度もたたき、糸が一本一本ほくれるようにします。
 夕方、完全に乾燥したら、前日と同じ方法で新しい煎汁に漬け込みます。乾燥が不十分だと、糸に染めむらができるので、雨や曇りの日はいけません。
 
 このような「煎汁づけ」を、15回から20回繰り返したあと、灰汁づけ(アクヅケ)を行い、黄色に染まるのです。
 灰汁づけに使用する灰は、ツバキとヒサカキ(八丈島ではサカキという)の焼き葉です。小枝のまま切り混ぜて燃焼すると、白く美しい極めてこまかい粒子の灰ができます。
 この灰を、湿気を吸収しないように貯蔵して置きます。
 灰汁はかめに灰を入れ、水を張って、1週間以上静置したときにできる上澄みを手桶にすくい取っておきます。
 
 次にそれをたらいのようなものに少量ずつ移し、糸に手早くしみこませます。すると、糸にしみこんだ煎汁が、灰汁の力で鮮やかな黄色を発色するのです。この灰汁づけは一回だけ。黄色の良し悪しは、このたった一回の灰汁づけによって決まるといいます。
 灰汁づけが終わった糸は、しばらくそのまま寝かせてから、強く絞って天日で乾燥させます。
 
 如何でしょうか。大変手間が掛かるものですが、植物から染料を取る染めは、すべからくこうあるべきだと、勘が私に語りかけて来てはいましたが、この黄八丈の染め方を知り、実に納得しました。
 
 草木染めは染色堅牢度が弱いから、着物や帯びに向かないという人がいますが、それは、今時の草木染めの事なのでしょう。
 染め物は、直ぐに色が褪せるようでは、人は着ることもしないし使いもしません。色が汚ければ尚更です。だからこそ、作り手は工夫し、それが知恵として伝わってきた。
 
 最近は、「私もカリヤス(黄八丈の原料)で染めているの」という人がいると聞きます。それはそれですが、伝統と人間の知恵が生かされてきた色と、媒染剤を使って簡単に染めた色の区別が、今の人達には出来ないのです。
 
 藍染めも、同じ「すくも」を使ってはいても、灰汁で醗酵させたものと、苛性ソーダや石灰やソーダ灰を使って発酵させたものとでは、色も染色堅牢度も違うし、ましてやハイドロなどの還元剤で建てれば尚更ですし、原料が違えばさらに尚更です。

2012年8月5日

2018年5月19日 (土)

pH・アルカリと還元

 藍染だけじゃないでしょうが、「感じる力」は肝心な事だというお話しです。それを阻害するのは、化学的な言葉。
 
 
 藍の染め液は、強アルカリ性だと言います。計ればpH11前後だから、それに合わせてpH調整するらしい。
 藍は還元だという。還元とは酸化したものを元に戻すこと。つまり、酸素を奪うこと。藍の染め液には酸素が無い。液から酸素を奪うために、還元させるという。だから「還元菌」なる言葉も誕生した。
 
 藍染めの歴史は何千年と古いけれど、その歴史の中に、pH、アルカリ、還元という言葉はありません。それでも人類は、藍染めをし続けてきた。
 
 「藍染めを科学する」という講演会の講師をなさった化学者が、藍染めをしている人たちに「石灰をなぜ使うのですか?pH調整ですか?」と問うた。私以外は皆さん、そうだと仰る。その先生は続けて、「pH調整するなら石灰は使ってはいけません」と語った。なぜなら「水に溶けないから」と。続けて「pH調整するなら苛性ソーダをお使いなさい。石灰より余程良いです」と。
 
 お分かりだろうか。pHを考えるなら、石灰よりも苛性ソーダの方が良いのです。
 
 染め液がアルカリ性だとは、結果的にそうだと言うことに過ぎません。それよりも大切なことは、染め液が今、何を求めているか、または何も求めていない十分な状態かを理解することです。そして、なぜアルカリ性が強いのかも考えるべきだと。
 染め液を舐めるのもの方法の一つでしょうが、私は舐めません。染め液と普段から親しくつきあっていれば、感じ取れるからです。
 
 この「感じる力」を、pHやアルカリや還元と言う言葉が阻害している。何でも計って、調べて対応する。
 
 pH、アルカリ、還元と言う言葉を藍染めの世界から無くせば、藍を深く理解することが出来ると、私は思います。

2018年5月14日 (月)

藍染の染め液の色

 藍染の染め液は茶色。
 
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 それが酸化して青になる。
 
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 だから、「青は藍より出でて藍より青し」!。
 
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 化学的な藍染めは、緑色で染め液から出きます。ですから、醗酵建てか化学建てかという見分けは、割合単純で簡単です。
 
 
 ご紹介する動画は、建ててから一年六ヶ月経った染め液の色合いを見ているところ。使っているのはティッシュペーパーです。

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 茶色が青に変わり、立派に染まっていますが、美しいと私は感じる。どうすればこういう染め液が出来るか?そこが、プロのプロたる所以。
 
 第一には、しっかりと醗酵を持続させること。その上に、様々なことがある。だから、美しくも強い藍染になるのです。


2018年5月12日 (土)

ウールを藍染めに

 ウールを藍染めなさりたい方が沢山いらっしゃいますが、皆さん、お困りの様子。
 染まっても色落ちが激しかったり、濃く染められなかったり、染め液のpHや温度を調節したり中和したりと、面倒なことが多い上に、感触を損なうといいます。

 本染めの藍染めの場合、綿を染めるのと何ら変わりなくウールを染めることが出来ます。ずいぶん昔にそんなことをこのブログに書きました
 それを読んだウールを扱う専門家が、喜び勇んでお見えになり、ウールを染めていかれました。

 なんと、ニュージーランドまで行って原毛を仕入れて来るのだそうな。それを、ご自分で帽子などをお作りなのだそうです。

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 ご主人は綿のパンツを藍染め。すっかり高級品になりました。大喜びです。
 母上は、綿のストールと手袋。私好みの良い色です。
 ご自身は、ウールの原毛と、ご自分でお作りになったウールのベレー帽とシルクストール。

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 これらがどのような作品になるかは知りませんが、時間の無い中、良く染まりました。

 楽しいひと時でしたが、これから、ウールの世界が広がることを願っています。




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