井戸
待望の井戸を掘り当てました。何はともあれ、これで藍を建てることが出来ます。
深さ129mと、思いの外深くなりましたが、仕方ありません。
大きな岩盤に行き当たってしまったとのことです。
その分、水質は非常に良かった様で、何よりでした。久留米絣の省ちゃんの家の井戸も、岩盤だったそうですが、やはり良い水が出たとのこと。お互い、普段の行いが良かったのでしょう。
「省ちゃん」などと呼んでいますが、国指定重要無形文化財技術保持者会会員で、工芸会正会員で、人間国宝展にも出展出来る人なんです。絣の世界で、デザイン、括り、染め、織りと、一人で全部出来るのは、日本で3人くらいしか居ないでしょうが、そのうちの一人で、しかも一番若い。
そういう意味では、芸術家と言っても良いのですが、どうも性格的に偉くなれないようで、私たち職人との付き合いが深い、変な奴です。
ただ、身体がデカイ!
そう言うと、「大川さんは態度がデカイ!」とつっこんできます。
お互い、藍建ても藍染めも専門ですが、糸染めと生地染めでは、全く世界が違います。ですから、ライバルというわけではありません。
彼の家に泊まることもありますが、省ちゃん曰く、「大川さんと居ると、しゃべらなくていいから楽だ」と言います。そういえば、九割私が喋っているかな。
彼は親切で、染場に私を連れて行って、自分の藍染めにたいする考え方を私に語ります。もちろん、私は私で語るわけですが、貝灰の使い方は、彼に教わった。感謝しているのですよ、省ちゃん。
「新しい工房が出来たら、絶対に遊びに行きます」と言ってくれておりますので、その時は歓待したいと思っています。
今回は、奥様のエッチャンが来ていて、昨日の宴会も一緒。
省ちゃんは、我々の世界では、人間国宝に一番近い人間ですから、「催事なんかには出てくるな」と言っております。そして、私は省ちゃんの先輩ですから、「人間国宝の先輩」という称号を得ることが出来るというわけです。
お前がなればいい?
私みたいな役人嫌いはいけません。
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