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2007年1月26日 (金)

黄八丈 ~文化と教育の問題~

私は黄八丈について、おおよそ知ってはいても、改めて、中川さんからお話を伺い、ちょいと調べてみると、紺屋として感じることが多々あります。

黄八丈の特徴は、島の中で原料から仕上がりまで、全てまかなうことが出来ると言うところにありますね。他所に依存することがない。

色は、「あくづけ」といって、ツバキとサカキの生葉を燃やした灰の灰汁でだすそうですが、それも島のものだ。私のように、日本中からかき集める事もない。この「あくづけ」は1回で決める。しかし、染めは何十回も繰り返し、毎回毎回天日干しをする。夕方まで干し、その間、何度も何度も糸をたたき、その都度完全に乾燥させることによって、むらなく染まり、堅牢度も増すわけです。

ですから、梅雨時は仕事になりませんし、中川さんも、黄八丈に関しては、催促はしないことにしているとのことでした。

植物から染料を取る染めは、すべからくこうあるべきだと、勘が私に語りかけて来てはいましたが、実に納得しましたね。柿渋を使った染めも同じで、岡林染里さんのそれなど、気の遠くなるような工程を経て、初めて、あの柔らかな色合いと風合いが出る。(いつか、この仙人の様な染め師をご紹介する機会もあるでしょう)

 染め物は、直ぐに色が褪せるようでは、人は着ることもしないし使いもしません。色が汚ければ尚更だ。だからこそ、作り手と使い手が、切磋琢磨してきた。しかし現代は、そういうことが少ない。

Photo_84 中川さんのお店には、「草木染」と書いて、黄八丈の帯締めが並べられています。そうしますと、「草木染めは、直ぐに色が褪せるから嫌なのよ」。と宣うお客様がいらっしゃる。その方は、そういう草木染めにしか出会ってないのでしょうし、事実、そういうものが多いのでしょうね。

 

 

色も同じで、「私もカリヤス(黄八丈の原料)で染めているの」という人もいるらしい。それはそれですが、伝統と人間の知恵が生かされてきた色と、媒染剤を使って簡単に染めた色の区別がつかないのですね。

 藍染めも、同じ「すくも」を使ってはいても、灰汁で醗酵させたものと、苛性ソーダやブドウ糖やソーダ灰を使って発酵させたものとでは色が違うし、ましてやハイドロで建てれば尚更ですし、原料が違えばさらに尚更です。
  
 

市松人形の無形文化財、通称「小島のお父さん」は、「人形に着せる着物を探すのが大変でな。今のものは色が駄目なんだよ」。といつもおっしゃる。旅先でも良いものに出会えば、高くとも買い求めるそうですが、一反で二着しかできないと、お嘆きです。

本当の色、伝統と知恵の詰まった色が、現代は無くなりつつある。私たちは子供達に、本当の物をみせられない時代に生きている。そして、簡単に出来るものばかりを見せるから、子供は、本当のことを知らされないで育つ。

そして、分析によって、何でも簡単に出来、答えがあると教えられるから、努力することや、物事と真摯に向かい合うことや、本当の事や物を知ることが出来なくなり、人を認め、尊敬する心が育まれることがありません。

しかし、本当のことは廃れるばかりで、黄八丈の染めを生業になさっている方は、たった一人。昨日、ようやく新しい“すくも”が届きましたが、藍師の家は、日本に数件しかない。

このように、我々の仕事は、綱渡りをしているかのように危ういのです。それも、綱がだんだん細くなり、落とそうとする風は強くなる。

いつぞや、紺屋の紺袴さんのご意見に対し、「文化と教育の問題」と私が言ったのは、こういう事です(1月16日の「灰」参照)。


黄八丈織物協同組合http://www.f2.dion.ne.jp/~juni/

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コメント

 ペンキや塗料で塗ってないしピカピカに磨いてない、生まれたままの黒い肌の庖丁を見てお客さんがみんな口を揃える、「変わってるわね!」
そうじゃないでしょ、これが何百年変わってない姿なんですよ。貴方達が日頃目にしている品が「変わったの」!
 売る為の方策でね。

 紺邑を作って、初めての本格的な仕事で日本橋三越本店に出展したとき、お隣の、誰でもが知る帯び屋さん(博多じゃないよ)のお友達で、加賀友禅の作家というのが来た。高島屋で個展をやっていたと記憶している。

 お隣が、その作家とやらを私の所に連れてきて紹介した。そして、その作家とやらは私に、「灰は何を使っているのですか?」と分ったような口を利くから、「樫が多いですが、栃の木の場合もあるし、桑の時もあるし、桜も良いですね」と事実を言ったら、怪訝そうな表情。
 そして、「ツバキじゃなきゃ駄目でしょう」という。「はぁ?」と私。「藍染めは醗酵ですよ」と言っても分らないらしい。
 
 バカかと思い、相手にもしなかったが、こんな奴がまかり通っているのだから、伝統工芸の権威の世界も、先が暗いな、っと、ちょっと酒が入っての一席。悪しからず

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