職人と作家
ただいま出展している新宿京王の「スペース匠」のホームページを見ますと、「作家に会える!」と書いてある。
では出展している私は作家かと言えば、職人です。
出展者の写真を見ても、私が作家だと思うのは黒川さんだけですね。
だけど黒川さんは、自分のことを職人と言うだろうな。
作家と職人の違いは何かといえば、職業欄に「業」と書くか「家」と書くかの違いだ。
我々で言えば「染色業」と「染織家」ということになる。
「業」とはつまり「生業」のことで、職業のことで、プロだということ。
プロとは厳しい世界に生きているし、使ってもらわなければ成り立たないし、生活がかかっているのだな。
だから作った物を「商品」という。
「家」は「生業」である必要がないから、作った物を「作品」という。
我々の世界でいう「作家」とは、所謂権威付けをしているわけだ。
作った物を「作品」と称するだけでは飽きたらず、「作家物」と名付ける。
誰が名付けるかというと問屋だ。
つまり、問屋の販売方法の一つと言うわけですね。
お陰で倒産する作家が出現し出す。
これが実は、我々職人の仕事の存続にとっては由々しき問題なのです。
それを柳宗悦は、美術と工藝の問題として取り上げ、民芸運動に行く訳だ。
伝統工芸の職人の仕事が作家仕事とおだてられ、自分勝手な品物を作り出せば、存続すら危うくなる。また事実危うい。
作る人と使う人の橋渡しをするには、本当はこういった認識が必要だと私は思うが、如何でしょうかね。
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