藍の色
5~6年前に買ってくださったシルクのメンズブルゾンをお召しになってご来店下さったお客様の、その紺味が何とも鮮やかで深かった。
「良い色になりましたねぇ」と私が言うと、「本当にそう。外で見るともっと鮮やかできれい」とは、奥様の言。
藍染めは、歳とともにきれいになるという、典型のようでもありました。
目の前が大島紬の城(きづき)ですから、時折藍染めの話しになる。
奄美大島の藍染めは、琉球藍の沈殿藍だと思うけれど、城君は、阿波藍の藍染めに興味があるらしい。
私の藍の色の特徴は、青味が深くて透明感があることだと思っております。
「すくも」と水と灰の質が大切ですが、染め方と洗いも大切だ。
今日は、私の藍建ての話しをしっかりといたしました。
灰汁の話しもしたし、苛性ソーダと還元剤を使った藍染めの話しもした。
時折、藍染めをお召しのお客様がお出でになったり、私たちの売り場の前をお通りになる。
その一つ一つを、「あれはどんな染め?」と城が私に聞いてくる。
しかし、全ての藍染めが、薬品(還元剤と苛性ソーダ)の藍染めだった。
何故分かるかというと、青味と透明感です。
苛性ソーダや還元剤を使うと、どんなにすくもや水が良くても、透明感を損ないます。
色がくすんでいて、それは洗ってもきれいにはならず、汚くあせてゆきますし、濃く染めれば、青味が黒味がかる。
灰汁で醗酵させた藍染めは、洗うと鮮やかに冴えます。
そして、あのブルゾンのように青味が深くなる。
この根本的な色の違いを、明治までの日本人は知っていた。
現代人は知らないし、それも無理からぬ事だけれど、是非、自然界の持つ青味とその深みを、見て感じてもらいたいと思いますね。
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