藍染めの色落ちについて
ここのところ、藍染めの色落ちについて、立て続けに質問されたり報告を受けていたりしますので、ちょいと一言、改めて書いてみます。
船橋では、ご常連の島本さんから、藍の組成や性質について、東大の誰それに調べさせた上で、「紺邑さんの藍染めは、色落ちもしないし、他のものと洗っても色移りしない。これは灰汁で醗酵させている正藍染めだからなのでしょうね。しかし、ある紺屋さんのホームページを見ると、『天然灰汁醗酵建て』と書いてあるのに、色落ちするから洗濯は別にしろと書いてある。これはどういう事なんでしょうか?」とご質問を頂いた。
理由は、三つ考えられる。
一つ目は、「天然灰汁醗酵建て」ではない事。
二つ目は、「天然灰汁醗酵建て」だけれど、その後の管理は、化学的な処理をしている事。
三つ目は、「天然灰汁醗酵建て」だが、品質表示法上、ネガティブな記述もしなければならないこと。
このうちのどれかだろうと思うと、お話しさせていただいた。
正解は、見て使ってみないと何とも云えませんが、島本さんと意見が一致したのは、それを手間を掛けて証明するほどの、経済的・生産的な意味は、藍染めの現状にはないということです。
池袋では、このブログの記事を削除した、【藍の色落ちについて】という日記をお書きになった方がお見えになった。藍染めの着物を着たら、長襦袢も足袋も青く染まり移り、取れないとお嘆きの日記でありましたが、詳しくお話しさせていただいたから、正藍染めについて、ご理解いただけたと思う。
本日は、ご自分で栽培した綿を、紺邑で染めて差し上げた方から、お手紙を頂いた。
その藍で染めた綿を、ある紺屋さんで三年ほど修行をし、今は草木染めをしながら手織りをなさっている方にお分けしたらしい。その方から、「どうして紺邑さんが染めた綿は、手に色がつかないの?」というお手紙を頂いたのだそうな。藍染めの糸を使ったときは、手が青く染まることが当たり前だと思っていたので、びっくりなさったのだそうです。
「本当の正藍染めは、色落ちもしないし色移りもしない」とご説明なさったそうですが、「織りの専門家から違いをうかがうと、いまさらながら本物のすばらしさを認識させられます」と書いてきて下さった。
この方は化学の専門家でもありまして、初めは非常に猜疑的で、正藍染めをなかなかご理解いただけなかった。紺邑の工房で全てをお見せしても尚、多少の疑問は残っていたのかもしれませんので、こういうお手紙になったのでしょう。
私の「藍染めの色落ちについて」の見解は、以前、このブログで示したとおりです。
http://kon-yu.cocolog-nifty.com/blog/2007/03/post_8bab.html
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次に、色落ちについて。
色落ちする物としない物があります。
色落ちするから本物だ偽物だと言うこともありませんし、たとえ落ちたとしても、それはすぐに止まります。
それは、染め方、洗い方、素材、柄の出し方、天候、藍の調子などで、結果が一定ではないためです。
しかし、洗濯に気を遣うことはありません。
何故なら、色移りがないからです。
たとえ洗濯液が真っ青になっても、白い物と一緒に洗って、それが青くなることはありません。
下着に藍がついたりしたら、ふつうに水洗いすればとれます。
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これは、紺邑のような「伝統工芸の本建て正藍染め」に限った事でもある。それを読者には、是非ご理解いただきたいものです。 そして公表は出来ませんが、日本で一番厳しいと言われる検査でも証明されてもいます。
正藍染めは、化学建ての藍とは、色も性質も違いますが、匂いも違います。
それは、工房に来ていただくか、百貨店で実演の甕で確認していただくか、紺邑の商品をお使いいただければ分かります。
臭くありませんよ(^_^)v
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