草木染め
日本には「草木染め」という言葉はありませんでした。これは、山崎さんという方が昭和になって商標登録をなさった、いわゆる「商標」です。つまりは、伝統的な染色ではありません。
しかし、植物から染料をとる染めは古来からあった。これは、伝統工芸です。違いは何かと云えば、藍染と同じで、結果が違う。色や堅牢度や役割です。
それをこのブログでは、「黄八丈」を例にとって書かせていただいた。
本日千葉県から、深緑色の暖簾を染めたいとおっしゃる、かわいらしい女性がおいでになった。深緑を綿地でどう染めるか、考えてみました。それも、藍を使って。どう考えても、藍染は「青」ですから、重ね染めをしなければなりません。その色は濃くて明るい黄色か橙色。
さて、それを草木で染めたいという。
私は草木染めは専門家ではないけれど、少しは知っているから「無理だと思うから、合成染料でお染めになって、その上に藍を付けたらどうですか」と、提案させていただいた(本来は藍を染めてから黄色を染める)。
それでも、草木染めにこだわっているので、専門家の日野初江さんの工房にお連れしてお話しを伺うと、私と同じ事をおっしゃる。
「あのね、藍染で深緑に染めるには、黄色を重ねて染める必要があるわね。でもね、時期が悪い。草木で染めるには時期があるの。でもね、きっと無理だと思うわね。この綿地に何度も何度も重ね染めしてみても、きっと斑々できれいに染まらないと思う。だから、合成染料を使った方が良いわよ。日本の染色技術は馬鹿にした物じゃないの。だから、その上に本染めの藍を付けて貰えば、それで十分よ」と。
その上で、日野さんの染め場を見せていただいたら、海老さんも納得なさった。
暖簾に文字を入れたいとおっしゃるし、下染めもしてもらわなければならない。
足利に名人がいますから、その方に深緑の染め方の話しをすると、私たちと同じ事をおっしゃる。その下染めを頼んでみるとOKが出た。ついでに、文字も入れてもらうことに。
これで全て解決。名人は、サンプルを染めてくださるそうです。
両毛と云うところは、糸偏に関しては凄いところで、ここで出来ないものはないでしょう。
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