佐藤 桂さんと云う方が撮ってくださった、私が歌っている写真。地元のタウン誌「渡良瀬通信400号記念」のパーティの一コマ。
ワイアレスマイクですが、これはスイッチのある司会・スピーチ用で、歌には相性が良さそうではないけれど、私は別にこだわりません。
オカリナの宗次郎さんが演奏したためか、モニターも揃っていて、自分の歌っている声がしっかりと聞こえてくる。もちろん、オカリナを拾うマイクは別ものです(笑)。
私が歌い始めたのは44年も前ですが、その頃は、今のような音響設備なんか考えられませんでした。
マイクが口から離れているでしょ!? これをオフマイク。マイクを口に付けっぱなしをオンマイクと言うのだそうですが、私は拡声器で歌ってきたから、マイクに頼らない癖があって、PA(音響)の人に、「今時めずらしいですね」と言われる。
当時はマイクに頼れませんから、声を出す訓練をしなければならなかった。これは死ぬほど練習しました。
声帯の成熟は身体の中で一番遅く、30才くらいだと言われます。だから、20代は声も出ないし、あまり歌うなと言うのだそうですが、私は19才からプロとして人前で歌い出した。
仕事ですから、声が出なくとも唄わなくてはなりません。音響なんて、ほぼただの拡声器の時代でしたから、自分の声を鍛えざるを得なかった。
今は、声を出す訓練をしなくても、音響の力で歌は歌えます。良い時代かどうかの問題は別ですけどね。
マイクなんか無い時代もあった。クラシックの人たちは、それが今でも当たり前でしょうが、その代わり、コンサート会場の音響が充実しています。
ジャズを歌っていた人たちはどうしていたか、ティーブ・釜萢さんに聞いてみたら、ビッグバンドをバックに、メガフォンを使って歌っていたそうです。これには驚きました。

(ティーブさん。私の師匠。思い出が沢山あるけれど、私は彼の最後の飲み友達だったと自認しています)
さて、私は60才を過ぎました。このパーティの参加者は、二百何十人も居たそうですが、十年以上私の歌を聴いていません。
「大川は今でも声が出るのだろうか?」と懸念していたようですが、終わると皆さん「変わりないねぇ」と言って下さった。親しい人は「なんか、前より良くなったみたいだ」とも言って下さった。
面白いもので、若い頃よりも今の方が声を出すことが楽になって、歌が自由になりました。音域も広がっている。スティービーもビリー・ジョエルの曲も、オリジナルキーで別に何ともない。
歳を取るのも、取り方でありがたいことだと思い始めましたです。
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