懐かしい人
友人と何の拍子か、相田みつをさんの話になった。
相田さんは父の中学校の同級生で、私はずいぶん可愛がって頂きました。
その友人は、「相田さんは好きじゃない」という。
好き嫌いは私の干渉するところじゃありませんから、構わないことですが、なぜか、相田さんの話を続けることになっちゃった。
相田さんは「相田みつを美術館」もあって、今や公人に等しいですから余計なことは書けませんが、色々思い出話をいたしました。
相田さんに、「にんげんだもの」という本があります。
最近、叔母の遺品から出てきて読み返してみましたが、相田さん自身のことが書かれているように思います。
私のようなものがいうのも気が引けますが、「にんげんだもの」と、相田さんの声が聞こえるようです。
私は、「いまから ここから」という言葉が好きです。
ある銀行の支店長が、店を移ることになった。
それは、左遷に等しかったらしい。
あいさつ回りをしていて、あるお宅で、私の父が染めた相田さんの「いまから ここから」という言葉に出会った。
彼はそれを見て、ぼろぼろと涙を流し、「そうなんだよなぁ、そうだよなぁ」とおっしゃり、救われてお帰りになった。
人ひとり救うことだって難しいことだけれど、相田さんは言葉で人を救った。
私は、それだけでも素晴らしいと思います。
一時、私の父が、相田さんの言葉を型に起こして藍染していた時期があります。
双方まだ売れていない頃だし、友達だから暗黙の了解だった。
相田さんが世に出てからは、さすがに著作権もありますから、止めましたが、私の手元にもありません。
「相田さんが世に出た」などと書きましたが、それもたったの三年ほどだったように思います。
享年六十七歳。
私も近づいてまいりました。
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