絹糸を染めながら
絹糸を染めています。
染めていて、ふと思ったことがある。
お客様が私の工房に来て、他の紺屋が染めたシャツを染め直して欲しいと私に云った。そして「いかほど?」と金額を聞く。
妙な人だなと思った。なぜならその染は、その方の町に住む染屋のものだったからです。
ひょっとしたら、染の金額を知りたいのかな?と思い、「染めた人に頼んだ方がいいですよ」と云うと、「あら、そうですか。ではそうします」とあっさりしたもの。
しかし、その染屋のことを、「丁寧な仕事をしますよ」と私に云った。
さて、丁寧とは如何に。
これは、仕事の評価です。好きとか嫌いとかではない。色の具合でもない。
仕事を評価するには、評価する人にそれなりの経験や力量が求められるはずだけれど、この方は、藍染に関しては全くの素人。
それが何故、「丁寧ね仕事」などという評価ができるのか。
こういうことが、今の日本を象徴しているように思います。素人が玄人の仕事を評価する。
素人がちょいと手仕事を覚えただけで、作家になっちゃう、っという世界でもある。
素人がちょいと手仕事を覚えただけで、作家になっちゃう、っという世界でもある。
つまり日本の手仕事は、素人がはびこる世界になってしまっています。
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コメント
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全く同感ですね。溢れている情報が、知らないうちにその道の識者になったように勘違いをして、それに気付かない人が多いように思います。本物の何かを、より多くの人に知って欲しいですね。
投稿: 加藤 | 2015年11月21日 (土) 08時14分