フォト

紺邑のホームページ

  • 紺邑のホームページ
    職人の手づくりのホームページです。 紺邑について、藍染めについての情報は、こちらをご覧ください。

ネットショップ

  • G.i-Japan
    藍染を始める方。藍染をなさりたい方もお訪ねください。藍に関する資材とノウハウを提供します。 藍染の製品もあります。 その他にも、沢山そろえて行きます。

他のアカウント

« 2016年10月 | トップページ | 2016年12月 »

2016年11月

2016年11月23日 (水)

永六輔の「職人」と 白洲正子の「ほんもの」

 旅先で久しぶりに大きな本屋に入り、およそ二時間、本を物色しましたが、驚いたことに知らない本と著者ばかり。本屋が、私の知らない世界になっていた。

 その中に、私もよく知る永六輔の追悼特集という平積みのコーナーがあって、そこに「職人」という新書があったので手にとって見てみました。面白かったら買ってみようと。

Shokunin_2

 永六輔という人を、私は天才だと思っています。放送作家として、作詞家として。好き嫌いで云えば、大好きな人。

 しかし、職人の立場で見ると実に邪魔な人で、職人仕事について誤ったことを伝えてきた。特に、藍染は。

 「さて、この本はどうかな?」と、藍染について書いているところを読んでみた。

 「藍染の青には様々な色があって、それが職人によって違うから困る」なんていう、もっともらしい職人の言葉が紹介されている。「だからどうなんだ」ということが何も書いていません。

 「本物の藍染と、偽物の藍染の区別がつかないから困る」ということも書いてある。そりゃそうで、永さんは合成藍で染めている会社のコマーシャルをしていた人で、ほんものを知りません。
 あるときラジオで「藍染は色が落ちて色移りします。それを承知で着なければならない」なんてことを言っていたくらいなものです。

 一事が万事で、他の職人仕事についても推して知るべしでしょう。
 
  
 二時間本屋にいて、ようやく見つけたのが、「ほんもの」という白洲正子さんの本。

Shiasumasako 
 私は、小林秀雄を読んできた。だから、青山二郎も今日出海も永井龍男も河上徹太郎も読者として存じていますし、彼らの交遊がどんなだったかも知っていますから面白く、それこそ「巻を措く能わず」で一気に読んでしまいました。ここにはそれこそ、「ほんもの」が書いてあります。
 
 白洲正子さんには、「美は匠にあり」という本もあります。そこの藍染に関する記述は間違っているけれど、それは言葉が違うだけで本質を見ていると職人の私は思う。

 私は最近、「(日本人は)本物を見る目がない。文化が育たない。噓や見かけがまかり通る社会になってしまった」と、某所に書きました。

 そこには、永六輔のような人の、薄っぺらなものの見方が関係していると思っています。「だからどうなんだ」という考察がない。つまり、考えがなく批評になっていない。
 エピソードをもっともらしく紹介するなど、誰でも出来ます。しかし、「だからどうなんだ」と書くことは、手間がかかるし面倒です。それを永さんは省いてなさらなかった。
 職人仕事は、手間をかけて面倒を厭いません。だから、永さんには職人仕事がわからなかった。

 戦後の日本の問題は、批評の精神の欠如だと思っています。なんでも簡単にわかってしまう。「ほんもの」を知るには、白洲正子さんのような批評の精神が必要だと私は思います。 

2016年11月13日 (日)

お知らせ

お知らせ

パソコンが壊れまして、データすべてを失いました😢
ホームページのサーバーとも接触できず、ようやく復旧の見込みが今立ちました。
HPとメールが不自由ですが、もう少しお持ちください。
しかし、HPの更新はまだ時間がかかりそうです。

その間のメールは
DQE05250@nifty.com
にお願いします。

2016年11月 6日 (日)

板藍根(ばんらんこん)

 藍草は古来、薬草として使われてきました。根からとる薬を「板藍根(ばんらんこん)」、葉を「大青葉(だいせいよう)」と云います。

P1020842
我が家の藍畑

 先だって、薬剤師の方が藍染をなさりにいらっしゃいまして、藍葉の薬効の話になりました。彼女は「板藍根(バンランコン)がインフルエンザにいいんです」とおっしゃった。藍草の根が原料の漢方薬。我が家に良くいらっしゃるご近所の方も、「板藍根」をお持ちだった。

 藍草の葉と根の効用については、『臨床中医学概論』(張瓏英 緑書房)に以下のように書いてあります。

【大青葉(だいせいよう)と板藍根(ばんらんこん)】

 性味:苦,寒。
 帰経:心・胃経。

〔薬理作用〕大青葉は葉であり板藍根は同一植物の根である。
 清熱,涼血,解毒作用がある。実験室ではチフス菌,溶血性連鎖状球菌,大腸菌,赤痢菌,黄色ブドウ状球菌に抑制作用が証明されている。
 近年,ウイルス疾患に相当強力な効果が認められ注目されている。特に流行性耳下腺炎では,大青葉,板藍根単味の煎剤でよく効果をあげている。中国では「板藍根錠剤」として一般に市販されている。
 その他インフルエンザ,日本脳炎,麻疹,肝炎等にも有効であるとしばしば報告されている。
 現在では,ウイルス疾患の治療に際し,欠かせない薬剤となっている。

  
 
 なるほど、食あたりのような胃痛に良いわけです。私による身体実験済みだ。風邪薬やインフルエンザなどの流行性感冒にもよろしいらしい。中国でサースがはやったときに、板藍根が売り切れたという話を、風のうわさに聞いています。
 
 これは放っておけないか(笑)
 そう考える人が多くなってきているようで、藍の葉のお茶やらなんやらと、出回るようになりました。

 蒅を作らず、藍草の様々な効用を利用しようとして本末転倒になっているのは、産地と云われる某地方で、そんなことよりも蒅を作ってもらいたいものだ。

 ちなみに薬剤師の方は、藍畑から藍草を根っこから引き抜いて持って帰られました。「板藍根」を作るのだそうです。

« 2016年10月 | トップページ | 2016年12月 »