石灰と貝灰
藍の染め液に、石灰を入れて良いことは何もありません。理由は二つ。一つは、石灰は水に溶けないから。二つ目は、危険だから。そう私は書いてきました。
それなのになぜ、藍の染め液に石灰を入れるのかというと、染め液をアルカリ性にするためです。水に溶けない性質の藍は、強アルカリ性の溶液に溶けだしてくると言われているからです。
石灰は水に溶けませんから、染め液に入れると、底に沈んでいる“すくも”(藍染めの原料)に堆積する。
堆積した石灰は、“すくも”に含まれている藍分(インディゴ)が水に溶けだすのを邪魔する。つまり、藍が染め液に出難くなる。
藍が染め液に出やすくしてあげるために、攪拌して“すくも”と石灰をバラバラにしなければならない。だから、毎日のように攪拌しなければならなくなる。そして、石膏分が固まっていますから、重くなっているので力のいる仕事になる。
染め液を攪拌すると、空気が液の中に入ります。その酸素は、液中の藍を酸化させてしまう。
酸化した藍は、水に溶けなくなり、染物にも付着しなくなる。つまり、染め液中の藍分が減り、液が痛む。
傷んだ染め液は、寿命が短くなる。
正しく、悪循環そのものだけれど、そういうものだと思わされている人たちには、これらすべてに気づくことはありません。
貝灰を、石灰の代わりだとみる向きがあります。しかし、石灰と貝灰は、全く役割が違うもので、石灰の代わりに貝灰を使うわけではなく、貝灰の代わりに石灰を使うわけでもありません。
では、貝灰は何のために使うのかというと、微生物の餌としてです。
貝灰も水に溶けませんが、染め液の中に生きている微生物が全部食べてしまう。餌ですから。だから、“すくも”に貝灰は残ることがありません。
石灰は貝灰の代わりには成れません。餌ではないからです。貝灰も石灰の代わりになれません。ですから、醗酵させていない還元の染め液に貝灰を入れても、効果はありません。
では、石灰を使わずにどうやってpH調整(アルカリ性にすること)をするのかというと、pH調整は必要が無いのです。これもまた、以前から私が言ったり書いたりしていることです。
先日紹介した動画をまたアップしますが、その視点でご覧になっていただきたい。
堆積した石灰は、“すくも”に含まれている藍分(インディゴ)が水に溶けだすのを邪魔する。つまり、藍が染め液に出難くなる。
藍が染め液に出やすくしてあげるために、攪拌して“すくも”と石灰をバラバラにしなければならない。だから、毎日のように攪拌しなければならなくなる。そして、石膏分が固まっていますから、重くなっているので力のいる仕事になる。
染め液を攪拌すると、空気が液の中に入ります。その酸素は、液中の藍を酸化させてしまう。
酸化した藍は、水に溶けなくなり、染物にも付着しなくなる。つまり、染め液中の藍分が減り、液が痛む。
傷んだ染め液は、寿命が短くなる。
正しく、悪循環そのものだけれど、そういうものだと思わされている人たちには、これらすべてに気づくことはありません。
貝灰を、石灰の代わりだとみる向きがあります。しかし、石灰と貝灰は、全く役割が違うもので、石灰の代わりに貝灰を使うわけではなく、貝灰の代わりに石灰を使うわけでもありません。
では、貝灰は何のために使うのかというと、微生物の餌としてです。
貝灰も水に溶けませんが、染め液の中に生きている微生物が全部食べてしまう。餌ですから。だから、“すくも”に貝灰は残ることがありません。
石灰は貝灰の代わりには成れません。餌ではないからです。貝灰も石灰の代わりになれません。ですから、醗酵させていない還元の染め液に貝灰を入れても、効果はありません。
では、石灰を使わずにどうやってpH調整(アルカリ性にすること)をするのかというと、pH調整は必要が無いのです。これもまた、以前から私が言ったり書いたりしていることです。
先日紹介した動画をまたアップしますが、その視点でご覧になっていただきたい。
染め液の中の“すくも”に白みが全くないのは、微生物が全部食べてしまった結果です。だから、“すくも”がとても柔らかく、藍が染め液に十分に溶けだしてくる。そして、寿命が長い。
この藍甕は、昨年の3月に建てたもの。11か月になろうとしています。これが、本建て・本染めの“すくも”の姿です。
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コメント
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微生物が貝灰を食べてなぜ、すくもが柔らかくなるのですか?
投稿: 植田安彦 | 2018年9月14日 (金) 23時39分
植田安彦さん、こめんとありがとうございます。
>微生物が貝灰を食べてなぜ、すくもが柔らかくなるのですか?
貝灰の成分が、すくもに残らないからです。
石灰は微生物の餌ではありませんから、すくもに残って固くします。それが無いということです。
投稿: 紺邑 | 2018年9月15日 (土) 00時51分