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2018年12月 2日 (日)

日本の森林の管理

 明治の初め、日本に国力はなく、容易に西欧列強の植民地化の動きに飲み込まれる恐れがある頃、内村鑑三は、国を富ませるために「山に木を植えよ」と言った。人口3千万人の江戸時代から、明治に入って人口を増やし、そのエネルギー源を賄わなければならなかった。 
 
 昭和になると大東亜戦争が起こり、日本はエネルギー不足となる。そこで、木を植えるべき山の木を切って補い、山が荒れた。
 
 終戦後、日本は物不足となり、エネルギー源や建材などの材木としての木が不足した。そこで、山に速成の杉の木を植えて対応した。その内、広葉樹林の伐採跡地等への針葉樹の植栽を「拡大造林」という。これらの造林は、主に森林所有者などが自らによって行われ、公共事業(造林関係補助事業)として実施された(林野庁)。
 
 その結果としての今日、山林を見れば杉ばかり。特に紅葉の季節はそれがはっきりする。

20181128122946工房の近くにあるダムの山々。
杉の緑の中に、わずかに広葉樹がある。

 広葉樹林帯は、落ち葉の体積による腐葉土が作られ、山は水をためる天然のダムを形成してきた。
 腐葉土は、微生物の力を借りて醗酵をしている。その微生物だけが、鉄分を水溶性に変え、それを含んだ水を河川に注ぐ。
 その水は海の湾に流れ込み、鉄分は海藻を育て、海藻はプランクトンを育て、それを食べに小さな魚が繁殖し、又それを食べに中型の魚が、大型の魚が住む様になり、貝などの生き物も繁殖して豊かな海を形成してきたのが日本。貝塚や漁業林などの存在がそれを物語っている。
   
 その広葉樹林帯に「拡大造林」として速成の杉の木が植えられ、腐葉土は山から消え、森は水をためる力を失い、大雨が降るとそのまま河川に水が入り、度々洪水の被害が起こるようになった。針葉樹の根の深さは広葉樹の三分の一と言われ、それが山崩れなどを起こす原因ともなっている。
 
 腐葉土が消えた山の水に、鉄分が含まれなくなり、海は豊かさを失い、日本の海は磯焼けさえ起こしている。
 
 明治時代、内村鑑三は「木を植えろ」と言ったが、今は木を切らねばならない。伐採して森林の植生を変えなければ、洪水の被害は続き、海も豊かにならない。自明の理のようだが、これがなかなかに難しい。
 
 その理由の第一に、日本人が木を使わなくなったことが挙げられる。建材などは安い外材に頼り、日本の木は、切れば切るほど赤字になるから切らないし使わない。木を燃やしてエネルギー源にすることもない。藍染も木灰を使わずに苛性ソーダや石灰に頼る。植物染めは金属などの媒染材だ。
 
 第二に、木を切って山の整備をしようとしても、持ち主が遠方だったり分からないことがある。日本は独裁国家ではないから、そういう山の木は、持ち主の承諾なしでは伐りたくても切れない。だから、山は荒れ果てたままに放置されてきた。
 
20181128123015ダムの上流も同じ。
 
 今年の4月、「森林経営管理法」が施行され、上記した問題が少し改善されるようになった。山や木々と親しく接していれば、この法律が有意義だとわかる。しかし、中には「日本の山が丸裸にされる」だのなんだのと、良く知りもせずに語る人達もいるが、私は、良い兆しが見えてきたと思っている。
 
 この法律を施行するための予算付けが、来年から始まる。私も長年温めてきた構想を、それによって実現してみたいと思っている。木こりなど林業に携わるスタッフも揃い、事業計画を書くまでになってきた。簡単に言えば、山の掃除だ。木を伐り、木を燃やし、灰を使う藍染は、その役割を少し担うことが出来るのだ。
 
   
 追記
 腐葉土の微生物が、鉄分を水溶性にするという働きに着目した新日本製鉄が、「鉄を利用した海の森づくり」をしています。腐葉土により鉄分を海に供給することによって、海を再生しようという試みです。
 

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