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2019年4月

2019年4月27日 (土)

春の藍建て講習会始まる。

 毎年恒例、ゴールデンウィーク期間中に行われる「春の藍建て講習会」が始まりました。それも、賑やかに。

 ゴールデンウイークですから、サラリーマンも休みが取れるわけで、講習会参加者に加えて卒業生や聴講生も沢山。総勢、我々教える側を含めると二十何名!遠くカンボジアからも聴講生がいらしたので、初日としては非常に中身の濃いものになりました。その為に、終了時間が一時間半も押してしまった。

Dscf0019これで全員ではないところが凄い。

 講習生にとって卒業生は、生き証人だし、彼らの経験談は、講習会の確信(コミットメント)を強くしてくれたに違いありません。

Dscf0032この大勢の中、やることはいつもと同じ。

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 一昨年の3月に建てた甕の染め液を捨て(捨て方も講習の内)、二年と一月ぶりに建て直しています。二年持てば文句もありませんが、寿命が長いのも、本建ての良い所です。

 今日は初日。明日も中身の濃い講習が待っています。

2019年4月25日 (木)

藍の染め液の維持管理方法

 藍の染め液の維持管理方法の基本は、放って置くこと。染めたら蓋をして寝かせる。次の日、蓋を開けて染める。これだけ。勿論、毎日染められる。

 何故か?と言えば、本来の藍染の染め液は、醗酵して微生物が無酸素状態の染め液中に生きていて、彼らは空気を嫌う嫌気性菌だからです。攪拌して空気を入れると痛む。だから放って置いてあげる。それが微生物にとって一番良いから、基本は放って置くことです。
 しかし、攪拌しなければならない時もある。それは以前書いた通りです。

 攪拌の仕方は、染め液中に空気をなるべく入れないように、優しく丁寧に攪拌します。理由はおわかりでしょうが、ですから、染め液の表面に「藍の華」というものは現れませんし、本来はあってはいけないのです。

 毎日攪拌する染め師もいることは存じ上げていますが、その理由も書いた通りで、攪拌して藍の色を出しているわけです。それは、微生物の力ではなく、結果的に何かの還元力で色を出している。それは化学的なものとは限らないという事も、書いた通りです。

 一日おきに染める染め師もいるようですが、それも、色が出て来るのを待つからか、攪拌して痛めた染め液の回復を待っているのでしょう。本来の藍染めは、毎日染められます。

 攪拌を頻繁にすること。一日置きに染めなければならないこと。この二つのことで、その染め液の性質が分かります。

(次回は、藍染の「色落ち」と「色移り」について書いてみようと思います。)
 
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※写真は蓋を開けた直後の染め液の様子。膜は張っていますが、藍の華はありません。

2019年4月24日 (水)

近況雑感

 先日、日本の北の果てからお客様がお見えになった。藍染めを楽しんでいただけたようだが、お話しするうちに、何故私の所にいらしたのかその訳が分かった。

 この方は、藍染めにかなり親しい。そして、自然派で、作るものも食べるものも着るものも、自然志向。それを藍染めに求め、原野の中で暮らして染色をしている人のところに行ったら、ハイドロ建て(化学建て)だった。そう云う経験をしてきて、そんな人たちに疑問をもって私の所に来た。
 そう云う人たちは、自然について、ライフスタイルについて、それなりの事を語るのだけれど、やっていることを見れば、化学建てだ。

 こういう人は多い。

 大切なのは、口幅ったいけれど、「心」とか「精神」とか「思想」というもので、その発露が行動に現われる。行動を見れば、その人の心や精神も思想も分かる。それをいかに見分けるかという事が大切なのだ。だから、物を知らなくてはならない。

 ハイドロサルファイトを使いながら自然を語るのは、その人が嘘をついているわけだから、単なる「偽者」だという事だ。ところが、ハイドロを知らなければ、この人の言葉を真に受けて信じる人も出て来る。いや、沢山いるだろう。そして、影響を受け、下手するとライフスタイルも変え、人生も変えてしまう。

 ハイドロを使って藍染めをすることを否定しているわけではない。正直であるべきだと云っているのだ。

 ハイドロを使う事に疑問を持ったとしても、自ら進んで使ったことのある人は、自然などについて語ることを控えるべきだと私は思う。先ずは、心や精神を洗濯してからにすべきだと思うけれど、使うような人は、それにも気づかず、平気なんだなあ。

2019年4月20日 (土)

藍の染め液の手入れ その2

 「藍の染め液は、毎日様子を見て面倒をみなくてはならない」というのが世評としてある。「攪拌を毎日しなければならないから、紺屋は旅行へも行けない」ともいわれる。

 先回私は、「本染め(本来の藍染)の場合、手入れは滅多にしません」と書いた。上記と矛盾しますが、これは「本染め(本来の藍染)」の場合です。私の弟子や生徒の中では、是は常識。だから、染め液を放って置いて旅にも出るし、寒い間の半年間寝かせておいて、暖かくなってから染め液を起こして藍染めしている人も居る。

 多くの藍染師は、毎日面倒をみて、毎日攪拌している。先日、私の弟子が訪ねた染め師も、今使っている藍甕を指さし、「もう少しで建て直しだから、ようやく旅行に行ける」と語ったと云います。それは何故かと言うと、手入れをしなければ色が出てこないからというのが最大の理由。手入れをして色を出す。

 本染めは、何故手入れをしなくとも色が出るかというと、醗酵だからです。微生物が色を出してくれる。では、手入れをしなくてはならない藍染めはどうなのか?という問題になります。

 藍の最大の特徴は、水に溶けない事。「藍は強アルカリ性の溶液に溶ける」という。だからpHの管理が必要で、適正pHにしなければならないと。そこで、毎朝pHを計り、なにがしかを使って適正pHにする作業がある。

 しかし、江戸時代、またはそれ以前に、アルカリという概念もpHメーターもなかったのに、藍染めは盛んだった。当時の染め師が、pHを計っていたなどと言うことはないのに、藍染は染められていたわけで、事実、私はpHを計ったことはありません。

 では「適正pH」の適正とは、何に対して適正なのか?それは、還元させるためです。

 藍の染め液は、強アルカリ性であることと、染め液中に酸素がないという特徴がある。つまり、無酸素状態。本建ての場合は、微生物の力で無酸素状態にしている。酸化したものを元に戻すことを「還元作用」と言いますが、染め液から酸素を取り、無酸素にすることを「還元」と云うわけです。それが「還元」。

 本来の藍建て(染め液を作ること)は、醗酵という微生物の作用で、結果的に還元させて染め液を作ります。その微生物を昨今は、還元菌などと呼んでいるようです。それらの菌に、適正pHなどありません。 

 還元させるためには、醗酵の力が絶対に必要だなんてこともありません。還元させるものを、染め液に入れれば、藍染めが出来ます。それが「還元剤」と云われるものです。

 化学的な還元剤の代表的なものが、ハイドロサルファイトと呼ばれるもので、これが、藍染のあの強い臭気を出す元です。その他に亜鉛末がある。これが化学的な藍染めで、pH調整して還元剤を入れれば、直ぐに藍染めが出来るようになります。

 還元剤にはその他に糖分や蜜などもあります。ブドウ糖、水飴、蜂蜜や廃蜜なども還元させるものです。

 朝、染め液に色が無ければ、pHを調整し、これらを入れる。しかし、酸素をとるための酸素が液中に必要ですから、攪拌して空気を入れる作業が出て来る。朝とは限らず、染め終わってからも攪拌しなければならない。だから、旅にも行けなくなる。放って置けば、染め液は腐敗するでしょう(醗酵の染め液は腐敗しません)。

 これが、手入れですが、醗酵とはなんら関係はありません。これらは麻薬のようなもので、簡単に染め液が生き返るために、手放せなくなるわけです。また、こういう還元させるものが、色落ち、色移りの原因にもなる。

 

 もしかしたら次回につづく。

2019年4月18日 (木)

藍の染め液の手入れ

 本染め(本来の藍染)の場合、手入れは滅多にしません。建てた時の蒅(すくも)と灰汁と、建てた後に加える麬(ふすま・小麦の皮)と貝灰と少量の澱粉が、微生物の餌になっているからです。

 微生物がこれらを食べてしまって、餌が染め液中に少なくなった時に手入れをします。つまり手入れとは、微生物に餌を上げてやることです。

 基本は「灰汁」です。灰汁はミネラルの宝庫ですから、それを加える。染め液に入れる液体は、灰汁だけです(建てる時も、灰汁だけで建てます)。再度書きますが、基本は「灰汁」です。

 麬(ふすま・小麦の皮)もミネラル分の補給です。これを勘違いする人がほとんどですが、これはミネラルと繊維質であって、澱粉はほとんど含まれていません。

 貝灰もミネラルの宝庫。石灰と比較する人がいますが、染め液に入れる目的が全く違います。貝灰は栄養補給。石灰はpH調整です。

 これらの何を、いつ、どうやって加えて染め液を維持管理するかというと、経験が教えてくれます。経験するしかないけれど、基本はある。その基本に乗っ取って経験を積み、手入れ方法を覚えるのです。以前、「守破離」のお話しをしましたが、その「守」です。

 経験が教えてくれることは、簡単ではありません。修行が要ります。今の日本人は、修行を嫌う。だから、簡単にできるものに飛びつく。また、簡単に出来ることを教えてくれる人も教室もある。そして、本来の物事が消えかかっているのが、今でしょう。

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※写真はウールの手編みセーター。毛糸を濃紺、紺、藍、水色に染め分け、東京の手編みの作家が編んだもの。日本橋三越本店に出展していた時に持ってきてくださった。

 本染めの藍染は、ウールも綿と同じように染まりますが、ウールの色の変化は凄い。これも10年近くになりますが、色が濃くなり、深みが出てきている。それを見た作家が驚き、私に見せるために持ってきてくださった。といういわくのあるセーターです。

 

2019年4月13日 (土)

藍と渋沢栄一

 新しい一万円札の顔に渋沢栄一が選ばれ、話題になっているようですが、ここ数十年、日本人は渋沢栄一を思い出さなければならないと云いながら、藍と渋沢栄一との関係などを語ってきた私としては、実に感慨深いものがあります。

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私が藍染めを説明する時のスライド資料です。

 何故日本人が渋沢栄一を思い出さなければならないかというと、現在の金儲け主義、金が命の風潮に、渋沢の精神と実践は警鐘を与えてくれると思うからです。渋沢は二宮尊徳とともに、道徳と経済の一元を説いた人でもあり、実践した人でもある。

 渋沢栄一は、三菱財閥の創始者岩崎弥太郎を凌ぐ経済人でありながら、三菱や三井や住友のような財閥は作らなかった。岩崎弥太郎は日本の経済を牛耳ろうと、渋沢栄一に連携を呼びかけ、話し合いの場まで設けたが、渋沢栄一はこれを拒否している。何故か?経済とは、岩崎や渋沢の為にあるものじゃないからです。国家国民の繁栄、豊かさの実現のためにあるもの。それが、渋沢栄一の基本です。

 そんな渋沢栄一の活動の大元に、藍があります。

 栄一は、武州(埼玉県)で藍を商う渋沢家に生まれ、子供の頃から商才を発揮して、藍草の栽培方法からすくも作り、販売までを手掛けていました。

 その辺りは、渋沢栄一の地元、埼玉県深谷市のホームページに詳しいですから是非お読みいただきたい。

 江戸時代から明治の終わりまで、藍の栽培が盛んだった武州利根川沿いの藍作も、ご多分に漏れず、合成藍の輸入とともに滅びました。
 しかし農家は何かして食わなきゃなりません。藍畑の後に植えたのがネギ。つまり、今の深谷ネギです。

 渋沢栄一が思い起こされることによって、日本の金儲け主義が是正され、藍についての認識が深まることを願っています。

2019年4月10日 (水)

灰汁(あく)

 藍は灰汁で建てます。蒅(すくも)と灰汁だけです。途中で日本酒、ふすま、石灰などを入れることはありません。灰汁で建てるから「灰汁建て」です。それを「本建て」とも「地獄建て」とも言います。

 「灰汁(あく)」とは、堅木を燃やした灰に水かお湯を入れ、激しくかき混ぜ、一日二日放って置いて、灰が沈んだ後の上澄み液をいいます。
 
 日本には、灰や灰汁の正しい作り方が伝わっていないようです。手元にある昭和50年代の論文も勘違いしている。曰く「灰汁は茶色」だと。茶色の液で美しい藍染は染まりません。

 茶色の灰汁は質の悪い証拠の様なもの(例外はある)。限りなく無色透明な灰汁は質が良い。そういう灰汁を取り、使わなければ、蒅(すくも)と灰汁だけで醗酵させることは難しくなります。

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 写真は、講習会で取った一番灰汁(最初に取った灰汁)です。天井が移るくらいに澄んでいますが、とても強い灰汁です。

 藍建ては蒅と灰汁。良い灰汁を作ることが肝心です。

2019年4月 1日 (月)

藍染めの常識(殺菌作用と抗菌作用について

私は藍染の職人で、科学者でも化学者でも歴史家でもありませんが、経験と実感と、それに伴った常識から物を見るようにしています。

古来藍染は、人間の役に立って来たと書いて参りました。だからこそ何千年という歴史を持つと。
しかし、この説明も簡単じゃない。
何故かと云えば、現在の藍染は、原料の問題と建て方の問題を抱えているからです。

さて、私の云う「常識」とは如何なる物かと云えば、例えば、藍に殺菌作用があるなどという事について。
私の常識は、殺菌作用などあるはずがないと語りかけて参ります。
何故なら、藍は醗酵によって染められるようになるのですから。
醗酵とは、微生物の作用。
藍に殺菌作用があるなら、微生物は死んでしまいます。

私の知り合いが、それについて大学でしっかりと調べてもらった。
結果を云えば、藍染には抗菌作用はあるけれど、殺菌作用は無いと言うことだったけれど、当然のことです。

下世話な話しになるけれど、「所さんの目が点」というテレビ番組で、藍染の布を調べたら、葡萄球菌も蔓延らなかったという結果になった。
それは、藍染に抗菌作用があるからで、細菌を殺してしまうほどに藍染は怖い物ではないことを示しています。
もう一つ加えるなら、世の中には薬事法というのものがあることも、知らねばなりません。

*薬事法は平成26年に薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律) に改正されています。

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