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2019年5月23日 (木)

醗酵と還元との勘違い

 私の父は、何はともあれ醗酵の藍建てに拘った。そのお陰で、今の私がある。

 父の工房に、少し離れた山間にあった染め織の学校から、生徒たちが大勢、藍染めの糸染めをしに来ていた。1980年代のお話し。主宰していた方は、当時東京の大学などで染め織を指導していた有名な方。

 しかし、お貸しした後、染め場が荒れて、染め液も傷んだので、お断りすることにした。

 その学校は、藍染めが出来なくなったわけで、そこで仕方なく、ハイドロサルファイトを使った化学建てを取り入れて、自分たちで藍染めを始めたと、風の便りに聞こえてきた。

 しばらくして、生徒たちのニュースレターが父の工房に送られてきた。そこに《ハイドロサルファイトを入れると、ブクブクと醗酵が始まり、厳粛な気持ちになった。》と書いてあった。

 これは、一言でいえば「勘違い」に過ぎない。つまり、還元という化学変化を、醗酵と勘違いしているわけだ。藍の醗酵は、こんな短時間には起こらない。蒅(すくも)だって、醗酵させて出来上がるまでに、サザンが九十日から百日掛かるように、染め液も、一週間から二週間、またはそれ以上の時間が掛かって醗酵するように、醗酵は直ぐには起こらない。

 この勘違いが、未だに日本に蔓延っているように、長く藍染めに携わってきた私には思える。

 今までこのブログで述べてきたように、藍を還元させるのは、化学的な還元剤とは限らない。ブドウ糖、水あめ、蜜(廃蜜)なども還元剤と云えるわけで、そこに「化学的なものは一切使わない」という言葉のマジックが隠されている。

 実は、私もブドウ糖を染め液の維持管理に使ったことがある。「人間に使うんだから、藍にもいいんじゃないの」と云って、辞めることになった某病院の点滴用のブドウ糖を持ってきてくれた友人がいたのだ。

 使ってみて驚いたのは、直ぐに染め液が濃くなって藍染めが出来るようになったこと。まるで魔法のようだった。

 しかし、染め物を絞ると、絞り跡がつく、色落ちがする、洗うと色移りがする。こんな経験は初めてだった。
 ひと月ほど経ったら、昨日まで染まっていた甕が、急に染まらなくなった。何をやってもうんともすんとも反応しない。蒅(すくも)を見ると、薄いベージュの色合いもなくなり、まるで砂のようで藍の痕跡もない。これも初めての経験。

 その後「藍染を科学する」という講演会に招待されたとき、講演なさった化学者にお聞きすると、「ブドウ糖や水あめは、還元させて藍を水溶性に変える。作用はハイドロと同じ。だから、色を無理やり蒅から持って行く。だから、色がなくなる」と教えてくださった。

 還元と醗酵との勘違い。これが日本で正されるのは、いつになることか。

Photo_88
醗酵の藍は写真のように茶色。
染め液が若ければ茶味が濃い。
つまり、こげ茶。
これが青くなるのが藍染め。
化学的な藍染めは、緑色で出てくる。
これについては改めて書く予定。

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