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2019年6月14日 (金)

灰汁建て 本建て 地獄建て

 藍を建てるとは、水に溶けない藍を水に溶けるようにして染め液を作ることを言います。それが「藍建て」。建てて染めるから、藍染めを「建て染め」とも言います。

 建てる方法は現在、様々。昔は醗酵で建てていました。醗酵は簡単ではありませんから、藍染めは職人仕事だった。藍染屋を「紺屋(こうや)」と呼びます。

 日本人は綿を栽培し、お蚕を育て、綿糸や絹糸を作ってそれを販売して生活してきた。売れない綿糸などを紺屋に持ち込み、藍染めしてもらって手機で織って、普段着や野良着や布団などの自家用の織物を作っていた。明治の中頃までそれは続き、日本人のほとんどが藍染ばかりを着ていました。だから日本は、青の国だったのです。

 明治30年ころ、日本に化学的に染め液を作る方法(化学建て)が伝来。原料も、石炭から抽出した合成藍(インディゴピュアー)が輸入され、藍草の栽培も、今までの醗酵の藍建ても、瞬く間に滅びました。私の住む栃木県佐野市は、藍草の栽培も藍染も盛んで、藍甕まで作っていましたが、明治39年には藍草の栽培は滅んでいます(町史)。

 しかし、絶滅したわけではなかった。藍染の世界でたった一人の人間国宝である宮城県の千葉あやのさんは、藍草の栽培からご自分でなさり、藍染めをし、手で織り、細々と続けていらした。関東にも滋賀県など近畿にも、千葉さんのように織まではなさらなくても、藍草を育て蒅(すくも)を作り、藍染めをしていた紺屋は残っていました。彼らは今でも、ご自分の藍染を「正藍染」と称して、化学の藍染と区別なさっています。私も同じです。

 正藍染の藍建ては、日本古来の醗酵建てです。化学的に建てた染め液で染めたものを「正藍染」と称したなら、それは、正藍染の偽物です。

 醗酵建ての中でも、蒅(すくも・藍草の葉を醗酵させた藍染の原料)を木灰からとった灰汁だけで建てて染め液を作る事を、「灰汁建て」や「本建て」、または「地獄建て」と呼びます。

 草木染の山崎青樹さんは、《藍建てはむずかしいのである。古くからの手法による藍建ては、灰汁水のみを用いた方法で、それを地獄建てなどといっているが、その方法は困難なのである。》(泰流社「正藍染」p24)と書いていますが、この方法が、私が伝えている藍建てです。

 現代の藍建ては、簡単になりました。醗酵させなくても染め液が出来ますから、誰でもが簡単に藍建てできます。それが、藍染の教室がある所以だし、ワークショップと称して誰でもが簡単に藍染の体験が出来るようにもなっています。しかし、そのほとんどが、本来の藍染ではありません。だから、難しい私達の藍染が誤解され、滅びに向かっているのです。

 しかし、「灰汁建て」と称している紺屋の中にも、灰汁で建てているわけではないものが見えます。石灰を入れたり日本酒を入れたり、麩(ふすま)を入れたりしている藍建ては、灰汁を入れているにしても、灰汁で建てているわけではありません。灰汁を使ってはいるけれど、そのほかの有機物と石灰のアルカリを利用している藍建てであって、灰汁建てではない。「灰汁建て」とは、または「地獄建て」とは、山崎さんのおっしゃるように「灰汁水のみを用いた方法」を言うのです。

 私が伝えている藍建ては、文字通りの「灰汁建て」です。蒅(すくも)を灰汁だけで建てます。これが本来の藍建てですから、紺屋はこの建て方を「本建て」とも言ってきました。本建ての染め液の藍染を、「正藍染」というのです。染め液の寿命は長く、藍の持つ本来の深くて美しい青を染めだし、丈夫で強い藍染めになり、色落ちしないように染められるし、色移りは全くありません。

 灰汁だけで建てるのは、技術だけでは建ちません。蒅(すくも)に灰汁を足せば、醗酵して建つわけではありません。だから、山崎青樹さんは、「困難だ」と云ったのでしょう。私が伝えているのは、藍を建てる心。心を文字であらわすのは、それこそ困難ですから書けません。だから、講習会をしているのです。メールなどで藍建てについて質問してくる方がありますが、伝えることは出来ません。

 もう一つの困難があります。それは、染め液の維持管理。これは、藍建てよりも難しいと言われます。わたしもそう思う。

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生徒たちが建てている200ℓの藍甕の昨日の様子。
六日目になりましたが、濃紺に染まります。
しかし、完全に建っているわけではありません。
ここで油断をすると色が出なくなります。
温度を測っているのですが、既に表面に「藍の華」はありません。
灰汁だけで建てるには、染め液の表面に藍の華が出来るような扱いをしてはいけません。

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