麻衣(あさごろも)
「麻といえば高級な上布を思い浮かべるが、人々が着ていたのはもっと丈夫な、蚊帳だの畳の縁(へり)などに近い麻衣だった」と、柳田国男は書いている。これを普通にヌノといい、木綿で織ったものはモメン、その糸はカナといってイトとは言わなかった。つまり日本では、麻が普通の布であり糸だったと。
麻は明治時代、冬の東北で使われていた。水気の浸みやすい木綿を着るのは不便だから、その上に麻を着て雪を払っていた。麻が手に入り難くなって、代わりに木綿の古着を刺して使うようになった。これも文化。
あさ衣 きればなつかし紀の国の 妹背の山に麻まく吾妹(わぎも)
万葉集にある歌だが、麻は万葉の時代といわず、縄文時代から続いている日本の文化。いや、続いていたと過去形か。でもね、僅かな人たちが受け継いでいるのです。それは今でも吾妹(わぎも)。つまり、女性たちだ。
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