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2020年5月

2020年5月 3日 (日)

本建て正藍染

 「本建て」とは、本来の藍建ての事を言います。「藍建て」とは、藍染の染め液を作る事。

 草木染の山崎青樹さんは、《藍建てはむずかしいのである。古くからの手法による藍建ては、灰汁水のみを用いた方法で、それを地獄建てなどといっているが、その方法は困難なのである。(泰流社「正藍染」p24)》と書いていますが、この「灰汁水のみを用いた方法」が、私の藍建て方法です。これを「本建て」、または山崎さんの云うように「地獄建て」などと云います。

 何故難しいかというと、当たり前ですが簡単には建たないからです。蒅に灰汁を入れただけでは建ちません。
 何が必要かというと、心を込める事。それは文字では伝わり難い。だから私は、藍建て講習会をしているのです。

 条件もある。それは、良い水、良い灰⇒良い灰汁、良い蒅が必要です。その上に、それらを生かす方法を知らなければならない。

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【一番灰汁】
この透明で澄んだ灰汁が、美しい藍染の染まる染め液を作ります。その為には、良い水と良い灰が必要です。
 

 「灰汁醗酵建て」と簡単に表現する向きもある。その凡そは灰汁を使っているだけで、灰汁で建てているわけじゃない。だから私の知る限り、そういう藍建てをなさっている方々は、灰汁の使い方が大雑把でいい加減です。

 先日、「数少ない化学を使わない藍染職人」と云われているという某氏の藍建てをテレビで見たお客様が、「日本酒とか入れるんですか?」と私に質問なさって来た。もちろん、使いません。藍建てに、日本酒や石灰やふすまなど、灰汁以外の余計なものを入れると、建つけれど、それなりの結果しか出ません。それは、染めの美しさ、堅牢度などに如実に表れます。

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【手絞りの反物】
和泉木綿を手絞りして何度となく染め、青と紺のコントラストを出した綿の反物。
自分で染めて言うのもなんだけれ
ど、青みも紺みも美しい。

 「本建て」による藍染を「正藍染」と言います。正藍染とその他の藍染の違いは、色で直ぐに分かるけれど、色落ちや色移りや日焼けなどの堅牢度や染まるものにも表れる。

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【ウールの藍染】
強アルカリ性の染め液に入れてウールが染まるのは、本建て正藍染の一つの特徴です。
良く
見ると、濃紺の奥に、紫がみえるのもまた、正藍染。

 私の本建て正藍染を受け継ぐ人たちが国の内外に広がっています。是非、その美しさと強さに触れてみてくださいませ。

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