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知名度

  私の工房のある閑馬町は、栃木県佐野市北西部の山間にある。「では、佐野市はどこにあるのだ?」と言われそうだけれど、栃木県の南西の端にある。「栃木県はどこなんだ?」と問われれば、「日本人か?」と言い返したいところだけれど、ある新聞社の統計によると、栃木県の知名度は、47都道府県の下から2番目と云うのだから困ったものだ。
 一番下は隣の群馬県で、3番目が茨城県だそうな。この3県を称して「北関東」というが、つまり、北関東が日本で一番知名度が低いということになる。たしかに、私は日本中を旅して商いをしているけれど、栃木県がどこにあるかを知る人に出会う方が難しいくらいだ。

 東京から電車や自動車を使って北に向かうと解るけれど、1時間以上走っても山が見えてこない。それ程に関東平野は広い。
 東京駅辺りから直線距離で80キロほど北に行くと、ようやく山が見えてくる。関東平野もそこで終わるのだが、その山の前にある町が佐野市である。つまり、東京から佐野市まで、山が一つもない。

 江戸時代、佐野の関東平野を見渡す事の出来る唐沢山山頂に、お城があった。
 ある日の夜、見張りが遠く江戸を見ていると、火が見える。
 「火事だ!」と気が付いた見張りが城主に告げると、殿様は早馬を出して、急を江戸に知らせた。
 知らせを聞いた幕府は、佐野から江戸が窺える事を知り、その城を潰してしまった。
 こんな逸話があるけれど、閑馬はその山の脇を通り、10キロ程北西の山間に入ったところにある。

 佐野市の西隣が足利市、東隣に栃木市、その東隣が小山市で、南に館林市があり、西の県境を越えれば、群馬県の桐生市だ。桐生市と足利市の隣には、群馬県太田市があり、その西に伊勢崎市があり前橋市がある。

 その昔は、栃木を下毛(しもつけ)の国といい、群馬を上毛(こうづけ)の国と言った。だから、上記した町々のあるところを、両毛(りょうもう)と呼び、群馬県前橋市と栃木県小山市を結ぶ鉄道が、JRの「両毛線」である。
 古く奈良時代から織物が盛んで、佐野も足利も、朝廷に布を納めたと記録にあるらしいし、桐生は「西の西陣 東の桐生」と云われるほどである。伊勢崎市については、お正月の元旦にテレビ放送される「ニューイヤー駅伝」をご覧頂きたい。市長を始めとして、市民が着物姿で画面に現れるだろうけれど、それを伊勢崎絣と云うのだが、つい最近までは、足利とともに、銘仙(絹織物の普段着)の一大産地だった。

 群馬県は、ニューイヤー駅伝を三重県から奪い取り、毎年開催しているけれど、知名度の無さは全国で最低だ。茨城県は栃木県より知名度が上だけれど、サッカーの鹿島アントラーズ以外に、何か有名なものがあるだろうか?
 栃木県には日光がある。「栃木県なんて行ったことがないな」という人に、「日光はどうです?」と聞けば、「日光は行った」と大抵答える。日光は栃木県にあると、知る人は少ない。

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